第7章|7-1 表面粗さとは?

表面粗さとは、加工面にある比較的細かな凹凸を数値で表す考え方です。 見た目が同じ面でも、工具送り、研削、研磨などの加工条件によって微細な凹凸は異なり、摩擦・摩耗・密封・疲労・塗装などの機能へ影響します。

機械検査では、RaやRzの数値だけでなく、どの輪郭曲線を、どの基準長さ・評価条件・測定方向で評価した値かまで確認することが重要です。

目次 タップで開閉
  1. 1. 30秒でわかる表面粗さ
  2. 2. 表面粗さとは?
  3. 3. 粗さ・うねり・形状の違い
  4. 4. RaとRzは何を見る?
  5. 5. 表面粗さが機能へ与える影響
  6. 6. 加工方法で表面はどう変わる?
  7. 7. 図面の表面性状指示を読む
  8. 8. 触針式表面粗さ測定機の基本
  9. 9. カットオフ値・基準長さが重要な理由
  10. 10. 測定方向で結果が変わる
  11. 11. 旧JISと現在のRzに注意
  12. 12. よくある測定ミス
  13. 13. 技能検定につながるポイント
  14. 14. よくある質問
  15. 15. 参考資料・一次情報
  16. 16. まとめ・関連記事

1. 30秒でわかる表面粗さ

  • 表面粗さは加工面の細かな凹凸を評価する
  • 代表パラメータにRa・Rzがある
  • 粗さとうねりは空間的な波長の違いとして分離される
  • 測定方向・カットオフ・評価長さで結果が変わる
  • 旧規格のRz「十点平均粗さ」と現在のRzを混同しない

2. 表面粗さとは?

切削・研削・研磨された面には、肉眼では見えにくい微細な山と谷があります。これらの輪郭を測定し、フィルタ処理などで粗さ成分を取り出してRa・Rzなどのパラメータで表します。

「粗い/滑らか」という感覚を、図面・製造・検査で共通の数値として扱えるようにしたものが表面粗さです。

3. 粗さ・うねり・形状の違い

要素イメージ代表記号
粗さ比較的細かい凹凸R
うねり粗さより長い周期の起伏W
断面曲線粗さ・うねり等を分離する前の輪郭P
形状反り・傾きなどさらに大きな形幾何公差等で評価

JIS B 0601:2013では、粗さ曲線・うねり曲線・断面曲線について用語と表面性状パラメータを規定しています。

4. RaとRzは何を見る?

パラメータ概要特徴
Ra粗さ曲線の算術平均高さ全体的な粗さを平均的に表しやすい
Rz基準長さ内の最大山高さ+最大谷深さ大きな山・谷の影響が出やすい

同じRaでも、深い傷が1本ある面と均一な凹凸の面では機能が異なることがあります。Raだけで表面の全情報が分かるわけではありません。

5. 表面粗さが機能へ与える影響

  • 摩擦・摺動:接触状態や油膜形成に影響
  • 密封:シール面の漏れや当たりへ影響
  • 摩耗:突出した山の初期摩耗へ影響
  • 疲労:表面傷・谷部が応力集中へ関係する場合
  • 塗装・接着:密着性や濡れ性へ影響
  • 外観:光沢・筋目・見え方へ影響

6. 加工方法で表面はどう変わる?

旋削では送りマーク、フライスではカッターマーク、研削では砥粒による細かな筋、ラッピング・超仕上げではより細かな凹凸が現れます。

ただし「加工法=決まったRa」ではありません。工具状態、送り、切込み、材料、振動、研削条件などで表面性状は変わります。

7. 図面の表面性状指示を読む

図面では表面性状記号とともに、必要な粗さパラメータ・許容値・加工要求などが指示されます。JIS B 0031:2003と追補1:2022は、日本で表面性状を図示する方法について現在も有効です。

記号だけでなく、RaなのかRzなのか、上限値・下限値、測定条件の追加指示があるかを確認します。

8. 触針式表面粗さ測定機の基本

触針式表面粗さ測定機では、先端の細い触針を表面に沿って走査し、上下変位を電気信号へ変換して輪郭を取得します。フィルタ処理後、Ra・Rzなどを演算します。

触針先端半径・測定力・測定速度などは測定結果へ影響するため、機器仕様と規格条件を確認します。

9. カットオフ値・基準長さが重要な理由

表面粗さでは、粗さ成分とうねり成分を分離するためにフィルタとカットオフを使います。日本国内ではJIS B 0633:2001が現在も有効で、RaやRz等に応じた基準長さ・評価長さの選定手順を規定しています。一方、国際規格ではISO 4288:1996が廃止され、ISO 21920-3:2021が現行です。JIS基準の管理値と現行ISO基準の測定条件を比較するときは、規格番号と版を確認し、同じ条件だと決めつけないことが重要です。

同じ面でも評価条件が違えば数値が変わるため、過去データや別設備と比較するときはパラメータだけでなく測定条件もそろえることが重要です。

10. 測定方向で結果が変わる

切削面には加工筋の方向(レイ)があります。筋に平行な方向と直角方向では、触針が通る凹凸が異なり、Ra・Rzが大きく変わる場合があります。

原則として図面・規格・測定手順で定めた方向に測り、比較測定では毎回同じ方向を使います。

11. 旧JISと現在のRzに注意

古いJISや旧ISOでは、記号Rzが「十点平均粗さ」を意味していた時期があります。現在有効なJIS B 0601:2013では、Rzは粗さ曲線の最大高さ(最大山高さ+最大谷深さ)です。

JIS独自の十点平均粗さはRzJISとして扱われます。古い図面・設備表示・社内文書では規格年を確認し、単純にRz同士を比較しないようにします。

12. よくある測定ミス

  • RaとRzを同じ意味で扱う
  • 測定方向を変えて比較する
  • カットオフ・評価長さを確認しない
  • 測定面の油・異物を残す
  • 触針が傷・バリへ乗った1回だけで判定する
  • 旧Rzと現行Rzを混同する
  • 「Raが小さいほど常に機能が良い」と決めつける

13. 技能検定につながるポイント

  • RaとRzの違いを説明できる
  • 粗さ・うねり・形状を区別できる
  • 測定方向・基準長さが必要な理由を説明できる
  • 旧JISのRzと現行Rzの違いに注意できる

14. よくある質問

Raが小さければ必ず良い表面ですか?

用途によります。摩擦、密封、保持など機能によって必要な表面性状は異なり、Raだけで全てを表せません。

粗さとうねりは同じですか?

異なります。一般に粗さはより短い波長成分、うねりはより長い波長成分としてフィルタで分けて評価します。

15. 参考資料・一次情報

最終確認:2026年10月2日|著者:UG|JIS B 0601:2013、JIS B 0633:2001、JIS B 0031:2003/追補1:2022はいずれも現在有効です。ISO 21920-1/-2/-3:2021もPublishedの現行版ですが、第2版は改訂作業中で未発行です。旧Rzと現行Rz、JISと現行ISOの測定条件を混同しないことを再確認済みです。

16. まとめ・関連記事

  • 表面粗さは微細な凹凸を数値化する
  • Raは平均的な高さ、Rzは大きな山・谷の影響を表しやすい
  • 粗さとうねりは分離して評価する
  • 方向・フィルタ・基準長さ・評価長さをそろえる
  • 旧Rzと現行Rzを混同しない

関連記事: Raとは? / Rzとは? / 表面粗さとうねりの違い

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