Rzは、基準長さ内の粗さ曲線で最も高い山と最も深い谷の高低差を表す表面粗さパラメータです。 現行JIS B 0601:2013では、粗さ曲線の最大高さRzとして、最大山高さRpと最大谷深さRvの和で定義されます。
古いJISではRzが「十点平均粗さ」を意味した時期があり、さらに1982年版の最大高さはRmax、1994年版はRyでした。Rmaxは断面曲線、現行Rzは粗さ曲線を対象にするため、同じ「最大高さ」でもそのまま同値換算できません。 古い図面・測定機・社内資料では、記号だけで判断せず適用規格年と測定条件を確認することが重要です。
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1. 30秒でわかるRz
- 現行Rzは最大山高さRp+最大谷深さRv
- 現行Rzは粗さ曲線、旧JIS B 0601:1982のRmaxは断面曲線を評価する
- 最大高さの記号はRmax → Ry → Rzと変遷した
- 1982年・1994年のRzは十点平均粗さで、現在のRzとは別物
- Rmax・Ry・旧Rz・現行Rzは単純換算せず、規格年・基準長さ・フィルタ条件まで確認する
2. Rzとは?
粗さ曲線の平均線から上側へ最も高い山をRp、下側へ最も深い谷をRvとすると、Rzはその合計です。
3. Rz=Rp+Rvを理解する
Rz=Rp+Rv
たとえばRp=2.0 μm、Rv=3.5 μmなら、Rz=5.5 μmです。平均線を基準に、上側と下側の最大偏差を足した値と考えます。
4. Raとの違い
| 比較 | Ra | Rz |
|---|---|---|
| 考え方 | 高さ偏差の絶対値を平均 | 最大山+最大谷 |
| 特徴 | 平均的な粗さ | 大きな凹凸を捉えやすい |
| 局所傷 | 平均化されやすい | 影響が出やすい |
5. Rzが傷・谷に敏感な理由
基準長さ内に1本だけ深い傷があると、その谷がRvとなり、Rzが大きくなる可能性があります。一方Raでは全体平均に薄められ、差が小さく見える場合があります。
密封面・摺動面など、深い傷が機能へ影響する部位ではRzや輪郭そのものを確認する意味があります。
6. 同じRaでもRzが違う例
A面は均一な凹凸、B面は全体は滑らかだが1か所に深い谷があるとします。平均偏差が似ていればRaは近くても、B面のRzは大きくなることがあります。
この違いから、RaとRzは置き換えではなく、表面の別の特徴を見るパラメータだと分かります。
7. Rzだけでも表面は決まらない
Rzが同じでも、山と谷の配分、凹凸の間隔、方向性、傷の位置などは異なります。機能判断ではRa、Rz、RSm、負荷曲線、加工筋など、必要な情報を組み合わせます。
8. 触針式でRzを測る流れ
- 図面のRz要求を確認する
- 測定面を清掃する
- 加工筋に対する測定方向を決める
- 基準長さ・評価長さ・フィルタ条件を設定する
- 触針で輪郭を走査する
- 粗さ曲線からRp・Rv・Rzを演算する
- 必要な複数位置で確認する
9. 基準長さ・評価長さ
国内ではJIS B 0633:2001が現在も有効で、Rzなどに応じた基準長さ・評価長さや測定値と許容限界値の比較手順を規定しています。一方、国際規格ではISO 21920-2:2021が表面性状パラメータの現行規格です。JIS B 0601:2013は旧ISO 4287系と整合した規格なので、現行ISO 21920系のRzと比較するときは、規格番号・版・フィルタ・評価長さなどの条件まで確認します。
RzとRtも混同しやすい点です。 JIS B 0601:2013のRzは基準長さにおける粗さ曲線の最大高さ、Rtは評価長さ全体における粗さ曲線の最大断面高さです。「測定した全長の中で一番大きい山と谷の差」をRzだと思い込まないようにします。
設備間・工程間で比較するときは、パラメータ名だけでなく測定条件を確認します。
10. JIS年式で意味が変わる|Rmax・Ry・旧Rz
JIS B 0601は年式によって、同じ記号でも意味が大きく変わります。 とくに注意したいのが「最大高さ」と「Rz」です。1982年版では最大高さがRmax、Rzは十点平均粗さ。1994年版では最大高さがRyへ変わりましたが、Rzはまだ十点平均粗さです。2001年版以降は最大高さがRzとなり、旧来の十点平均粗さはRzJISとして区別されます。つまり、古い図面の「Rz」を現在のRzと同じ意味で読むと、別のパラメータを比較することになります。
ミツトヨも、新旧規格でRzの測定値差が無視できるほど小さいとは限らないと注意喚起しています。
Rmaxとは?
Rmaxは、JIS B 0601:1982で使われていた「最大高さ」の記号です。評価対象は断面曲線で、基準長さ内の最高部と最低部の高さ差を表します。ミツトヨの現行資料でも、JIS1982のRmaxは断面曲線を評価し、うねり成分を含むのに対し、2001年以降のRzは粗さ曲線を評価し、うねり成分を除いた条件として整理されています。
したがって、Rmaxと現行Rzはどちらも「最大高さ系」ですが、評価曲線とフィルタ条件が異なるため、同じ数値として扱ったり固定倍率で換算したりできません。 古い図面のRmaxを現在のRzへ読み替える場合は、図面年式・適用JIS・測定器の規格設定を確認します。
最大高さの記号は Rmax → Ry → Rz と変わった
| JIS B 0601 | 最大高さの記号 | 「Rz」の意味 |
|---|---|---|
| 1982年版 | Rmax | 十点平均粗さ |
| 1994年版 | Ry | 十点平均粗さ |
| 2001年版 | Rz | 最大高さ(十点平均はRzJIS) |
| 2013年版 | Rz | 最大高さ(十点平均は附属書JA) |
古い図面にRmax・Ry・Rzのどれが書かれているかだけでなく、図面制定年と適用規格をセットで確認してください。特に1982年・1994年のRzは、現在の最大高さRzではありません。
11. RzJISとは?
JIS B 0601:2013では、日本独自の十点平均粗さをRzJISとして扱います。RzJISは、基準長さ内で高い順の5つの山高さの平均と、深い順の5つの谷深さの平均を足した値です。現行Rz=Rp+Rvとは計算の考え方が異なるため、同じ「Rz系」の表示でも別パラメータとして扱います。
RzJIS82とRzJIS94も同じ扱いではありません。 ミツトヨのJIS B 0601:2013解説では、RzJIS82は測定したままの輪郭曲線、RzJIS94は位相補償高域フィルタを適用した輪郭曲線を用いると整理されています。十点平均粗さという考え方が同じでも、元になる輪郭曲線が違うため、古い測定値を比較するときは規格設定まで確認します。
12. 図面・過去データを読む注意
- 図面制定年・適用規格を確認する
- Rmaxなら1982年系の最大高さ、Ryなら1994年系の最大高さ、Rzは規格年によって十点平均粗さまたは最大高さの可能性があると考える
- 「Rz」の定義が現行最大高さか旧十点平均か確認する
- 測定器の演算規格設定を確認する
- 過去データ比較では評価曲線・フィルタ・基準長さを含めて同じ定義・条件にそろえる
- Rmax・Ry・旧Rz・現行Rzを単純な換算係数で置き換えない
13. 技能検定につながるポイント
- 現行Rz=Rp+Rvを説明できる
- Raとの違いを説明できる
- 旧JISの十点平均粗さとの違いを説明できる
- 基準長さ・測定方向が必要な理由を説明できる
14. よくある質問
RzはRaより必ず大きいですか?
同じ粗さ曲線・同じ基準長さ・同じ評価条件で比べるなら、Rzは最大山高さRpと最大谷深さRvの和なので、通常はRaより大きい値になります。ただし、異なる規格・フィルタ・基準長さ・測定方向で得たRaとRzを単純比較して、品質の良し悪しを判断してはいけません。
旧JISのRzと現在のRzは同じですか?
過去の図面では十点平均粗さなど旧定義との混同に注意が必要です。図面の規格年・注記を確認します。
15. 参考資料・一次情報
- 日本規格協会|JIS B 0601:2013
- 日本規格協会|JIS B 0633:2001
- 日本規格協会|表面粗さ測定における規格定義の変遷資料
- ISO 21920-2:2021
- ISO/CD 21920-2(Edition 2・開発中)
- ミツトヨ|表面粗さに関するJIS 2001年規格について
- ミツトヨ|表面粗さの基礎知識
最終確認:2026年10月2日|著者:UG|JIS B 0601:2013は現在有効、JIS B 0633:2001も2025年6月20日に再確認され有効です。JIS B 0601の最大高さ記号は1982年版のRmax、1994年版のRy、2001年版以降のRzへ変遷し、旧Rzは十点平均粗さだったため、年式によって同じ記号の意味が大きく異なります。現行Rz=Rp+Rv、RzJIS82/94、Rmaxとの評価曲線・フィルタ条件の違い、ISO 21920-2:2021とEdition 2の改訂状況を日本規格協会・ISO・ミツトヨの現行情報で再確認済みです。
16. まとめ・関連記事
- 現行Rzは最大山高さRpと最大谷深さRvの和
- Raより局所的な大きな凹凸へ敏感
- JIS B 0601は年式で意味が変わり、最大高さの記号はRmax → Ry → Rzと変遷した
- 1982年・1994年のRzは十点平均粗さで、現在のRzとは別物
- Rmaxと現行Rzはどちらも最大高さ系だが、評価曲線・フィルタ・基準長さの条件が異なるため単純換算しない
- 古い図面・測定機では図面制定年・適用規格・演算設定まで確認する
関連記事: Raとは? / 表面粗さとは? / 表面粗さとうねりの違い
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