重回帰分析は、1つの応答Yを複数の説明変数X₁,X₂,…から説明・予測する線形モデルです。
NISTの線形最小二乗モデルでは、Y=β₀+β₁X₁+β₂X₂+…+ε の形で複数の未知パラメータを同時に推定します。
1. 単回帰との違い
単回帰はXが1つ、重回帰は複数です。複数要因を同時にモデルへ入れることで、他の変数を一定としたときの各変数の関係を評価できます。
2. 偏回帰係数は「他を固定した効果」
β₁はX₂,X₃…を一定としたとき、X₁が1単位変化した場合のYの平均変化量です。単純相関とは意味が異なります。
3. 最小二乗法で係数を同時推定する
行列では b=(X’X)⁻¹X’Y の形で表せます。実務では統計ソフトで計算し、係数・標準誤差・t値・p値を確認します。
4. R²は説明割合、調整済みR²は変数数を考慮する
説明変数を増やすとR²は原則低下しません。不要変数を入れても上がるため、変数数をペナルティとして考慮する調整済みR²も確認します。
5. 多重共線性に注意する
説明変数同士が強く依存すると係数推定が不安定になります。NIST DataplotはVIFを 1/(1−Rj²) と定義し、共線性診断に使っています。
6. VIFだけで機械的に変数を削らない
共線性がある場合でも、研究目的・工程知識・予測目的によって対処は異なります。変数削除、主成分回帰、設計見直しなどを検討します。
7. 交互作用・二乗項も重回帰で表現できる
X₁X₂やX₁²を新しい説明変数として入れれば、交互作用や曲率も線形最小二乗の枠組みで推定できます。
8. 残差診断は必須
線形性、一定分散、独立性、外れ値・影響点などを確認します。R²が高くても残差に構造があればモデルは不十分です。
9. よくある質問(FAQ)
係数が大きい変数が一番重要ですか?
単位が違えば係数の大きさを直接比較できません。標準化係数や実務単位、変数範囲も見ます。
説明変数は多いほど良いですか?
いいえ。過学習、共線性、解釈困難を招きます。目的に必要な変数へ絞ります。
10. 一次情報・参考資料
- NIST/SEMATECH|Linear Least Squares Regression
- NIST Dataplot|Variance Inflation Factors
- 日本規格協会|QC検定レベル表
最終確認:2026年10月1日。
11. まとめ
重回帰分析は、複数の説明変数を同時に扱い、他の変数を調整した偏回帰係数を推定する方法です。 R²だけでなく、VIF・係数の不確かさ・残差を確認します。
品質管理の教科書TOP:全16章・191テーマへ戻る
執筆・最終確認:UG。NIST・JSA公開情報をもとに整理しています。
← 前:14-7|応答曲面法 | 品質管理の教科書TOP | 次:14-9|変数選択 →

コメントを残す