位置度とは、穴・軸・点・中心面などの位置が、理論的に正確な位置からどの範囲までずれてよいかを規制する位置公差です。 多くの図面ではデータムとTED(理論的に正確な寸法)を使って基準位置を定め、公差域の中に対象の中心や軸線が収まるかを評価します。
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1. 30秒でわかるポイント
- 位置度は位置公差
- TEDで理論的に正確な位置を示す
- 穴軸などでは直径記号付きの円筒公差域がよく使われる
- データム参照は図面の要求に従って確認する
- 座標寸法の±公差と位置度は公差域の形が異なる
2. 位置度とは?
位置度は「中心がX方向に何mmずれたか」だけを見るものではありません。図面で定められた理論位置を中心とする公差域を設定し、対象の点・中心・軸線などがその領域に入るかを判断します。
3. 理論的に正確な位置とTED
TED(Theoretically Exact Dimension)は、理論的に正確な寸法を示す値です。図面では四角い枠で囲った寸法として表され、TEDそのものに±公差を持たせるのではなく、位置度などの幾何公差で許容範囲を指定します。
これにより、X方向・Y方向それぞれへ±公差を重ねるより、設計意図に合った公差域で位置を管理できます。
4. 位置度の公差域
穴の軸線に位置度が指定され、直径記号が付く代表的なケースでは、理論位置を中心とした円筒状の公差域に実際の導出軸線が収まることを要求します。
対象が点や中心面などの場合は、公差域の形が異なることがあります。記号・直径記号・対象形体をセットで確認します。
5. データムとの関係
位置度はデータム系と組み合わせて「どこを基準に位置を決めるか」を明確にする使い方が一般的です。たとえば基準面A、側面B、端面Cを使って部品の姿勢と位置を決め、その座標系で穴位置を評価します。
ただし、ISO 5458ではパターン・複合仕様のルールも扱われます。複数形体の相互位置を管理する指示などもあるため、「位置度なら必ずA-B-Cが付く」と機械的に決めず、実際の公差記入枠を優先します。
6. 座標寸法公差との違い
座標寸法でX±0.1、Y±0.1と指定した場合、許容領域は座標方向に広がる四角形として考えられます。一方、穴軸の位置度で直径公差域を指定すると、理論位置の周囲に円形・円筒状の許容領域を作れます。
両者は単純に同じ数値へ換算できるとは限りません。図面が採用している公差方式をそのまま読んで評価します。
7. ボルト穴で考える具体例
4本のボルトで締結するフランジを考えると、穴径がすべて寸法公差内でも、穴中心位置がずれているとボルトが通らないことがあります。位置度は、こうした組立機能に必要な穴位置を幾何学的に管理するのに使われます。
8. 複数穴パターンでの考え方
複数穴では、穴同士のピッチ・パターン全体の位置・データムに対する位置を分けて考える必要があります。ISO 5458:2018は、位置などのパターン仕様や複合仕様に関する補足ルールを定めています。
また、最大実体要求(MMR)などの修飾条件が付く場合は、サイズと許容される幾何偏差の関係が変わるため、記号を見落とさないようにします。
9. 位置度を測定する方法
代表的な方法は三次元測定機です。データム形体を測定して座標系を作り、穴や軸の中心・軸線を測定して理論位置との差を評価します。量産品では、機能ゲージ・検査ゲージで合否を判定する方法もあります。
ゲージは素早い合否判定に向きますが、製品ごとの設計が必要です。三次元測定機は数値解析しやすい一方、データム設定・測定深さ・測定点・評価条件の設定が重要です。
10. よくある間違い
- 穴径が公差内なら位置もOKと思う
- TEDを通常の±寸法公差として読む
- X方向・Y方向の差だけを見て位置度を判定する
- データムの優先順位を間違える
- 直径記号やMMRなどの修飾条件を見落とす
- 穴の入口だけ測り、軸線の傾きを見落とす
11. 技能検定につながるポイント
技能検定では、位置度=理論位置+公差域で整理します。TED、データム、公差記入枠、直径記号の役割を分けて説明できるようにすると、図面読解と測定方法の問題に対応しやすくなります。
12. よくある質問
位置度の公差値はX方向・Y方向それぞれの±値ですか?
通常そのようには読みません。図面で指定された公差域の形に対して対象が収まるかを評価します。
位置度には必ずデータムが必要ですか?
多くの位置度指示ではデータムを用いますが、パターン仕様など図面指示によって扱いが異なります。公差記入枠を確認してください。
ノギスで穴位置を測れば位置度を判定できますか?
単純な距離確認には使えますが、データム系と公差域を含む位置度の厳密な評価には三次元測定機や適切なゲージなどが必要になる場合があります。
13. 参考資料・一次情報
- ISO 1101:2017|Geometrical tolerancing(2022年再確認・現行)
- ISO 5458:2018|Pattern and combined geometrical specification(2023年再確認・現行)
- ISO 5459:2024|Datums and datum systems
- キーエンス|位置度の測定
最終確認:2026年10月2日|著者:UG|TED・直径記号・データム・MMR等の修飾条件を分けて確認。ISO 5458:2018は2023年再確認で現行、データムはISO 5459:2024が現行です。
14. まとめ
- 位置度は理論位置に対する位置の許容範囲を規制する
- TEDで理論的に正確な位置を示す
- 穴軸では円筒公差域がよく使われる
- データム・直径記号・修飾条件をセットで読む
- 座標の±公差と位置度は公差域が異なる
15. 関連記事
位置度の数値を試す: XY方向のずれを使った2次元の簡易計算は、UG BASE 現場計算LAB(無料)で確認できます。このツールだけでは、データムや修飾条件を含む正式な幾何公差の合否判定はできません。
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