穴位置・穴中心を正しく測るには、最初に「どの基準から、どの方向へ、何を穴中心とするか」を図面どおりに固定する必要があります。 穴径だけを測っても穴位置は分かりません。基準面・基準端面・穴中心・穴ピッチを分けて考えます。
30秒でわかる
穴位置は、図面で指定された基準から穴の中心までの距離を測って求めます。
- 図面の基準端面・基準面と測定方向を先に確認する。
- 穴径と穴位置は別の項目。中心位置は穴の両端の距離から計算できる場合がある。
- 穴ピッチは2つの穴の中心間距離であり、穴同士のすきまではない。
- ノギスは簡易確認、専用工具やハイトゲージは反復測定、三次元測定機は座標・位置度評価に適する。
- 厳しい公差や位置度は、図面の指示と測定の不確かさを確認して判定する。
まず「基準→穴中心→必要な距離」の順に考えると、初めてでも測定方法を選びやすくなります。
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1. 測定前に押さえる5つの基本
- 図面の基準面・基準端面を先に確認する
- 穴径と穴位置は別の測定項目
- 穴中心は穴の幾何学的中心位置を評価する
- 簡易測定はノギス、精度や再現性重視なら専用工具・ハイトゲージ・CMMを使う
- 位置度を判定する場合は単純なX/Y寸法測定だけでは不十分な場合がある
2. 最初に図面の基準を確認する

穴位置測定で最初に確認するのは、寸法値ではなく基準です。図面上でどの端面・中心線・データムから穴中心までを管理しているのかを確認します。
基準面が変われば、同じ穴でも測定値は変わります。ワークを定盤や治具へ置く場合も、図面上の基準と検査時の基準を一致させます。
3. 穴中心とは何を測る?

円形穴の「穴中心」は、単純には穴の円形断面の中心位置です。ただし実際の穴が楕円・テーパ・傾きを持つ場合、どの断面・どの評価方法の中心を採用するかで結果が変わることがあります。
厳密な位置度評価では、図面仕様に従って導出中心や軸線を評価します。一般的な現場寸法確認と幾何公差評価は分けて考えます。
4. ノギスで穴中心を求める基本

標準ノギスで基準端面から穴中心までを簡易的に求める場合、同じ基準から同じ方向に、穴の同一断面に対する近側端までの距離aと遠側端までの距離bを測れれば、中心位置は概ね (a+b)/2 で求められます。
計算例|基準端面から穴中心まで
説明用の仮の測定値として、同じ基準端面から穴の近側まで12.40mm、遠側まで22.40mmだったとします。
穴中心位置=(12.40+22.40)÷2=17.40mm。両端の差は22.40−12.40=10.00mmで、この断面の穴径に相当します。
この計算が使えるのは、同じ基準・同じ方向・同じ断面の両端を正しく測定できた場合です。面取り部分やジョウの当たり方による誤差は別途考慮します。
ただし、内側ジョウの形状、穴径、面取り、バリ、測定姿勢による影響が大きいため、厳しい公差の判定には向きません。
5. 穴ピッチ専用ノギスを使う
穴中心間寸法を頻繁に測るなら、穴ピッチ用オフセットノギスや穴ピッチキャリパの方が効率的です。ミツトヨの現行製品では、特殊形状のジョウ先端によって穴の中心間寸法を直接・迅速に測定できるタイプがあります。
専用工具でも、適用穴径・測定範囲・測定子精度を確認して使用します。
| 測定方法 | 得意な測定 | 主なメリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 標準ノギス | 穴の端面距離から中心を概算 | 汎用工具で簡易確認できる | 面取り・ジョウの形状・測定姿勢の影響を受ける |
| 穴ピッチ用ノギス | 2穴の中心間寸法 | 適用する穴なら直接読み取りやすい | 適用穴径・測定範囲・補正設定を確認 |
| ハイトゲージ+測定子 | 定盤を基準にした穴中心高さ | 基準を再現して反復測定しやすい | 固定状態・測定子の補正・姿勢が重要 |
| 三次元測定機(CMM) | 複数穴の座標・軸・位置度 | 座標系と幾何公差を含めて評価可能 | データム設定、測定戦略、評価条件が必要 |
6. ハイトゲージ+センタープローブ

ハイトゲージへセンタープローブなどを取り付け、定盤基準で穴中心高さを測る方法もあります。基準端面・基準面を定盤上で再現し、穴の上下位置を検出して中心を求めます。
ミツトヨのハイトゲージにはセンタープローブ等のアクセサリが用意されており、用途に応じて穴中心位置の測定へ利用できます。
7. 三次元測定機で測る

三次元測定機(CMM)では、まずデータムや基準座標系を作り、穴内面の複数点を測定して円や円筒要素を算出し、その中心座標・軸線を評価できます。
複数穴パターン、段違い面、位置度、公差が厳しい部品ではCMMが有効です。ただし、測定点数・測定深さ・フィルタ・評価方法を図面仕様へ合わせる必要があります。
再現性を確保するポイント:測定断面の高さ・採点位置・取得点数・円/円筒の当てはめ方法を記録します。同じ穴でも入口付近と奥側では形状が異なる場合があるため、「どの断面の中心か」を曖昧にしないことが重要です。測定値の桁数だけで合否判断せず、必要な測定不確かさも確認します。
8. データムから穴中心までを測る
- 基準面・基準端面を決める
- 基準面のゴミ・バリを除去する
- ワークを安定して固定する
- 穴中心を検出する方法を決める
- X方向・Y方向など必要な各方向を測る
- 図面値と比較する
基準側の姿勢が変わると、穴中心座標も変わるため、測定中にワークが動かないようにします。
9. 穴ピッチを測る

穴ピッチとは、一般に穴中心から別の穴中心までの距離です。穴径が同じ2穴なら同じ側の穴端間距離から中心間距離を求められる場合もありますが、穴径が異なる・面取りが大きい・公差が厳しい場合は専用工具やCMMの方が確実です。
計算例|2穴の中心間距離
数値は説明用の仮の例です。同一直線上にある穴Aの中心が基準から17.40mm、穴Bの中心が57.50mmなら、穴ピッチは57.50−17.40=40.10mmです。
穴中心が平面内でX・Y両方向に離れている場合は、中心間の直線距離を求めます。例えばA(20,15)、B(50,55)[単位:mm]なら、√{(50−20)²+(55−15)²}=50mmです。
ただし、図面の指示が「X方向の中心間距離」ならX方向の差を評価します。斜めの直線距離と各軸方向の寸法を混同しないでください。
量産で同じ穴パターンを繰り返し測る場合は、専用ゲージや専用治具も有効です。
10. 位置度との違い

穴中心のX寸法・Y寸法が図面値に近いことと、位置度を満たすことは同義ではありません。 位置度は、TED・データム・公差域・修飾条件などを含めて評価します。
座標差と位置度の違い|仮の計算例
理論上の穴中心をX=10.00mm、Y=20.00mm、測定した中心をX=10.05mm、Y=19.96mmとすると、座標差はΔX=+0.05mm、ΔY=−0.04mmです。
直径で示された円形の位置公差域について、1断面の中心点を参考計算する場合、中心のずれを直径換算すると 2×√(0.05²+0.04²)≒0.128mmです。
注意:この値だけで穴の位置度合否が決まるわけではありません。実際の評価には、指示されたデータム、穴の軸線、評価する長さ、実体公差方式などの修飾条件を反映します。図面・適用規格・測定手順に従って判定してください。
位置度が指定されている部品を単純な±座標差だけで合否判定しないようにします。
11. よくある測定ミス

- 基準面を確認せず測る
- 穴径と穴中心位置を混同する
- 面取り部分を穴端として測る
- 穴の入口だけで中心を決める
- ノギスを斜めに当てる
- 異径2穴でも同径穴と同じ簡易式を使う
- 位置度をX/Yの±寸法だけで判定する
12. 技能検定につながるポイント
- 基準から穴中心までを説明できる
- 穴径測定と穴位置測定の違いを説明できる
- ノギス・ハイトゲージ・CMMの使い分けを説明できる
- 穴ピッチ=中心間距離を理解する
- 位置度と座標寸法測定の違いを理解する
13. よくある質問・確認問題
穴中心はノギスだけで測れますか?
簡易確認は可能ですが、厳しい公差・複雑形状・位置度評価では専用工具やハイトゲージ、三次元測定機などが適します。
穴ピッチと穴間のすきまは同じですか?
違います。穴ピッチは通常、穴中心間の距離です。
面取りがある穴は、どこを穴端として測りますか?
原則として図面が指示する穴の円筒面・測定断面を確認し、面取りの外縁を穴径の端として扱わないようにします。測定子が入らない形状や、公差が厳しい場合は専用測定子・CMMなどに切り替えます。
確認問題:穴位置測定で最初に決めるものは? → 図面上の基準面・基準端面・データムです。
14. 参考資料・一次情報
- ISO 1101:2017|Geometrical tolerancing(2022年再確認・現行)
- ISO 5458:2018|Pattern and combined geometrical specification(2023年再確認・現行)
- ISO 5459:2024|Datums and datum systems
- ミツトヨ|オフセット・穴ピッチ用ノギス
- ミツトヨ|ハイトゲージ
- UG BASE|位置度とは?
最終確認:2026年10月13日|著者:UG|穴中心の簡易座標測定と位置度評価を分離。位置度はTED・データム・公差域・修飾条件を含めて解釈し、ISO 1101:2017、ISO 5458:2018、ISO 5459:2024の現行状態を再確認済みです。
15. まとめ・関連記事
- 穴位置測定は基準の確認から始める
- 穴径と穴中心位置は別項目
- 簡易測定と位置度評価を区別する
- 公差・形状に応じて専用工具やCMMを使う
数値で確認する: 穴中心のXY座標・PCD穴座標・2点間距離などを試算するときは、UG BASE 現場計算LAB(無料)を利用できます。これは座標の計算補助であり、正式な位置度判定には図面のデータム・公差域などの確認が必要です。
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