機械検査で使うCpkは、工程のばらつきに加えて、工程平均が規格のどちら側へどれだけ寄っているかを考慮する工程能力指数です。 両側規格では上側・下側の能力を別々に計算し、小さい側をCpkとします。母数で書く理論式と、標本から求める推定値は区別して扱います。
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1. 30秒でわかるCpk
- Cpkは規格上限側と下限側の能力を別々に計算する
- CPU=(USL−μ)/(3σ)
- CPL=(μ−LSL)/(3σ)
- Cpk=min(CPU,CPL)
- 平均が規格中心からずれるほどCpkは小さくなる
2. Cpkとは?
Cpkは、工程平均μから近い側の規格限界までに、3σが何個入るかを見る指標と考えると理解しやすくなります。
平均が上限側へ寄ればCPUが小さくなり、下限側へ寄ればCPLが小さくなります。Cpkは悪い側、つまり小さい方を採用します。
3. 基本式とCPU・CPL
母数:Cpu=(USL−μ)/(3σ)
Cpl=(μ−LSL)/(3σ)
Cpk=min(Cpu,Cpl)
標本からの推定:μ→x̄、σ→sなどの推定値に置き換える
- μ:工程平均
- σ:工程の標準偏差
- USL:上側規格限界
- LSL:下側規格限界
4. Cpkが見ているもの
Cpkは、平均から上限・下限までの余裕を個別に見ます。両側規格で同じσを使う場合、工程平均が規格中央ならCpk=Cp、中央から外れるとCpk<Cpになります。なお、片側規格しかない場合は存在しない側の規格限界を仮定せず、対応するCpuまたはCplなどの片側指標で評価します。
5. 具体例で計算する
規格9.90〜10.10 mm、平均μ=10.06 mm、σ=0.020 mmとします。
CPU=(10.10−10.06)/(3×0.020)=0.04/0.06≈0.67
CPL=(10.06−9.90)/0.06≈2.67
Cpk=min(0.67,2.67)=0.67
ばらつき幅は比較的小さくても、平均が上限側へ寄っているため上側能力が低いと分かります。
6. CpとCpkを並べて読む
| 状態 | Cp | Cpk | 読み方 |
|---|---|---|---|
| ばらつき大・中心良 | 低い | 低い | まずばらつき縮小 |
| ばらつき小・中心ずれ | 高い | 低い | 平均位置の調整が必要 |
| ばらつき小・中心良 | 高い | Cpに近い | 幅・中心とも良好 |
7. 平均が中央ならどうなる?
両側規格で工程平均がちょうど規格中央にあり、CpとCpkで同じばらつき推定値を使う場合、理論上CpkはCpと一致します。平均が中央からずれるほどCpkはCpより小さくなります。
実データでCpとCpkに大きな差があるときは、工程平均の片寄りを疑う手掛かりになります。
8. Cpkを使う前に確認すること
- 工程が統計的に安定しているか
- 規格限界が正しいか
- 測定系の精度・再現性が十分か
- データ分布が想定モデルに合っているか
- サンプル数が少なすぎないか
- 短期能力と長期能力を混同していないか
9. Cpkが低いときの切り分け
Cpkが低い原因は大きく2つです。
- ばらつきが大きい:σが大きく、Cpも低い
- 平均が偏っている:Cpは高いのにCpkだけ低い
CpとCpkを並べて見ることで、改善方向を切り分けやすくなります。
10. Cpkの数値をどう読む?
Cpkが大きいほど、平均位置を含めて近い側の規格限界までの余裕が大きいと読めます。逆に、工程平均が規格限界の外へ出るとCpkは負になることがあります。 ただし、Cpkの合格基準は製品・顧客・社内規程によって異なり、指数だけで工程状態を断定しません。
「Cpkは必ず1.33以上」のように一律の基準として扱わず、適用規程を確認します。
11. よくある間違い
- CpとCpkを同じ意味で使う
- Cpkが低い=ばらつきだけが悪いと決めつける
- CPU・CPLの大きい方を採用する
- 工程が不安定でも指数だけを見る
- 正規性・測定系・サンプル数を確認しない
- 社内基準を普遍的な基準として扱う
12. 技能検定につながるポイント
- Cpk=min(CPU,CPL)を意味で覚える
- 「近い側の規格までの距離÷3σ」と説明できる
- Cpは幅、Cpkは幅+中心ずれと区別する
- Cp>Cpkなら中心ずれを疑う
- 工程能力の前提条件を説明できる
13. FAQ・確認問題
CpkはCpより大きくなりますか?
通常の両側規格の定義ではCpkはCp以下になります。平均が規格中心なら両者は一致します。
Cp=1.67、Cpk=0.67なら何を疑いますか?
工程ばらつきは比較的小さい一方、平均が規格中心から片側へ寄っている可能性を疑います。
確認問題:USL=10.10、LSL=9.90、μ=10.00、σ=0.025ならCpkは? → CPU=CPL=0.10/0.075≈1.33です。
14. 参考資料・一次情報
- ISO 22514-1:2014|Capability and performance-General principles
- ISO 22514-4:2016|Process capability estimates and performance measures
- ISO 22514-2:2026|Time-dependent process models
- NIST/SEMATECH|What is Process Capability?
- NIST/SEMATECH|Assessing Process Capability
最終確認:2026年10月2日|著者:UG|Cpkの母数式と標本推定値、Cpu/Cpl、Cpk≤Cpとなる条件、片側規格、Cpkが負になるケース、σ推定条件を再確認しました。ISO 22514-1:2014、ISO 22514-4:2016は現行、ISO 22514-2:2026は時間依存工程モデルの現行版です。
15. まとめ・関連記事
- Cpkはばらつきと平均位置を同時に見る
- CPU・CPLの小さい方を採用する
- 平均が中心ならCpkはCpと一致する
- CpとCpkの差で中心ずれを見つけやすい
- 安定性・分布・測定系を確認して使う
関連記事: Cpkの一般理論・QC検定での使い方 / CpとCpkの一般比較 / 機械検査で使うCp / 機械検査で使う工程能力
機械検査の教科書
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