『硬い鋼』と『焼入性が良い鋼』は同じ意味ではありません。硬さはその場所の性質、焼入性は焼入れでどこまで深くマルテンサイト化しやすいかを表す考え方です。
硬さとは?
押込みや引っかきなどに対する抵抗を数値化した機械的性質です。ロックウェル、ビッカース、ブリネルなど測定法によって尺度が異なります。
焼入性とは?
焼入れしたときに、表面だけでなく内部までマルテンサイト組織を形成しやすい能力を指します。英語ではhardenabilityです。『最高硬さが高い』という意味ではありません。
例で理解する
同じ表面硬さが得られても、大径部品の中心まで硬化する鋼と、表面付近しか硬化しない鋼があります。後者は硬さが低いのではなく、焼入性が低いと表現します。
何が焼入性を左右する?
合金元素、オーステナイト粒径、炭素量、オーステナイト化条件などが関係します。また部品側では寸法・形状と冷却条件が実際の硬化深さに影響します。
ジョミニー一端焼入れ試験
鋼の焼入性を比較する代表的な方法です。試験片の一端を水冷し、冷却端からの距離ごとの硬さを測ることで、焼入れ性の違いを評価します。
覚え方
硬さ=『その場所がどれだけ硬いか』、焼入性=『焼入れで硬い組織をどこまで作りやすいか』です。
まとめ
第23回の要点は、用語だけを暗記せず、温度・炭素量・時間・冷却速度と組織の関係で考えることです。実際の熱処理条件は鋼種・寸法・前組織・設備・仕様で変わるため、材質規格と作業標準を優先してください。
参考
金属熱処理 初心者講座

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