鉄−炭素系状態図は、温度と炭素量によって、平衡に近い状態でどの相が安定するかを示す『地図』です。初心者が最初から全線を暗記する必要はありません。
まず見る3点
①横軸は炭素量、②縦軸は温度、③フェライト・オーステナイト・セメンタイトなどの存在領域を見る。この3つが分かれば、熱処理の理解に十分役立ちます。
鋼で特に重要な領域
実務ではFe−Fe3C系の準安定状態図が広く使われます。鋼として扱う低炭素側〜約2mass%C程度の領域で、A1、A3、Acm、共析点付近の関係をまず見ます。
共析点とは?
共析組成付近では、オーステナイトが冷却によってフェライトとセメンタイトからなるパーライトへ変態します。教科書では約0.77%C・約727℃付近として示されることが多いですが、数値だけ暗記するより意味を理解します。
状態図で分かること
ある炭素量・温度で平衡に近いとき、どの相が安定するか、相の組み合わせがどう変わるかを読み取れます。焼なまし・焼ならし・オーステナイト化の理解に役立ちます。
状態図だけでは焼入れを説明できない
状態図は時間や冷却速度を直接表しません。急冷によるマルテンサイトやベイナイトの形成を考えるには、TTT線図やCCT線図が必要です。
全部覚えなくてOK
初心者は『A1の上下で何が変わるか』『A3/Acmより上でオーステナイト領域がどうなるか』『炭素量で組織割合がどう変わるか』を図と一緒に確認すれば十分です。
まとめ
第22回の要点は、用語だけを暗記せず、温度・炭素量・時間・冷却速度と組織の関係で考えることです。実際の熱処理条件は鋼種・寸法・前組織・設備・仕様で変わるため、材質規格と作業標準を優先してください。
参考
金属熱処理 初心者講座

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