FTA(Fault Tree Analysis)は、「この重大な故障が起きるには何が必要か」をトップ事象から原因側へ逆向きに分解していく演繹的な分析手法です。
NASAのFault Tree Handbookでも、望ましくないトップ事象を定義し、その原因を系統的に後ろ向きにたどって論理モデルを作る手法として説明されています。
1. 最初にトップ事象を具体的に定義する
「品質が悪い」では広すぎます。「起動できない」「制動力を失う」「漏れが発生する」など、分析対象となる望ましくない事象を明確にします。
2. 上から下へ原因を分解する
トップ事象が起きる直接原因を挙げ、それぞれをさらに下位原因へ分解します。最終的に、これ以上分解しない基本事象まで落とします。
3. ORゲートは「どれか1つで起こる」
原因Aまたは原因Bのどちらかが起これば上位事象が成立する場合にORゲートを使います。複数経路のどれでも事故・故障につながる構造です。
4. ANDゲートは「すべて揃うと起こる」
原因Aと原因Bが同時に成立して初めて上位事象が起こる場合にANDゲートを使います。冗長系の同時故障などで現れます。
5. 定性分析では重要な組合せを探す
トップ事象を発生させる最小の基本事象組合せを最小カットセットと呼びます。どの原因や組合せを優先して対策すべきかを考える手掛かりになります。
6. 定量化では発生確率を組み合わせる
基本事象に確率データがある場合、AND/ORの論理に従ってトップ事象の発生確率を推定できます。ただし独立性やデータ品質などの仮定に注意が必要です。
7. FMEAとの違い
FMEAは部品・機能・工程の故障モードから「その結果どうなるか」を積み上げる帰納的な見方、FTAは重大なトップ事象から「何が原因か」をさかのぼる演繹的な見方です。両者は補完関係にあります。
8. FTAで失敗しやすいポイント
- トップ事象が曖昧
- 分析範囲を決めていない
- AND/ORの論理を混同する
- 共通原因故障を無視する
- 確率値の根拠が弱い
NASAの手順でも、目的・トップ事象・範囲・解析粒度・前提条件を定めてからツリーを構築する流れが示されています。
9. よくある質問(FAQ)
FTAは安全問題だけに使いますか?
安全分野で広く使われますが、重大故障や品質問題など、トップ事象を論理的に原因分解したい場合にも使えます。
FMEAとFTAはどちらか片方でよいですか?
目的が異なります。重大事象を深掘りするFTAと、広く故障モードを予防するFMEAを組み合わせると補完できます。
10. 一次情報・参考資料
- NASA|Fault Tree Handbook with Aerospace Applications
- NASA|System Safety / Fault Tree Analysis
- 日本規格協会|QC検定 各級のレベルと内容
最終確認:2026年10月1日。
11. まとめ
FTAは、重大なトップ事象から原因へさかのぼり、AND/OR論理で故障経路を構造化する手法です。 トップ事象・範囲・前提を明確にしてから分析します。
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