第11章|11-12 残差とは?|R²だけでは見えない回帰モデルの異常を残差プロットで見抜く

残差とは、実測値yと回帰式による予測値ŷの差、e=y−ŷです。 回帰モデルが説明できずに残した部分を調べることで、直線モデルの不足や外れ値、分散の変化を見つけます。

NISTは、R²が高くてもモデルがデータに適合している保証にはならず、残差のグラフィカル分析がモデル妥当性確認の主要手段だと説明しています。

1. 残差は実測値−予測値

実測10.5、予測10.2なら残差は+0.3です。プラスはモデル予測より実測が高い、マイナスは低いことを表します。

2. 良い残差は0の周りにランダムに散る

説明変数や予測値に対して、残差が0付近へランダムに散り、明確な形が残らない状態が基本です。規則的な形があるなら、モデルが取り切れていない構造を疑います。

3. 曲線パターンは非線形のサイン

残差がU字やS字に並ぶ場合、直線モデルでは関係を表し切れていない可能性があります。二次項の追加、変数変換、別モデルの検討につなげます。

4. 扇形は分散が一定でない可能性

Xや予測値が大きくなるほど残差の幅が広がる「扇形」は、不均一分散の典型です。NISTも残差プロットのホーン形状を一定分散仮定への違反例として示しています。

5. 時系列の並びは独立性を見る

実験順や時間順に残差を並べ、連続して正・負が続く、周期があるなどの構造があれば、時間依存・ドリフト・未管理要因を疑います。

6. 正規性はQQプロットなどで確認する

古典的な推測を行うときは誤差の正規性を仮定することがあります。正規確率プロット、ヒストグラムなどで大きな逸脱がないか確認します。

7. 外れ値は削除する前に原因確認

大きな残差を持つ点は、測定ミス、入力ミス、特殊原因、実際に重要な工程状態の可能性があります。モデルに都合が悪いからという理由だけで除外しません。

8. R²と残差は役割が違う

R²は説明された変動割合を1つの数で要約します。残差は「どこで、どのようにモデルが外れているか」を示します。高R²でも残差に曲線や扇形があればモデルは不十分です。

9. よくある質問(FAQ)

残差の平均は必ず0ですか?

切片を含む通常の最小二乗回帰では標本残差の合計は0になります。ただし、それだけでモデルが正しいことにはなりません。

残差が正規分布でないと回帰式は使えませんか?

目的によります。係数推定自体と、検定・信頼区間などの推測では影響が異なります。逸脱の大きさと目的に応じて判断します。

10. 一次情報・参考資料

最終確認:2026年10月1日。

11. まとめ

残差は、回帰モデルが説明できずに残した情報です。 0の周りのランダムな散らばり、曲線、扇形、時間依存、外れ値を確認し、R²だけでは分からないモデル不良を見抜きます。

品質管理の教科書TOP:全16章・191テーマへ戻る

執筆・最終確認:UG。公開情報と一般化した製造現場の考え方をもとに解説しています。

← 前:11-11|回帰式とは? | 品質管理の教科書TOP

フィードバック

  1. […] 前:11-10|単回帰分析 | 品質管理の教科書TOP | 次:11-12|残差とは? […]

コメントを残す