分散分析(ANOVA)は、複数群の平均差を「データ全体の変動を原因別に分ける」ことで評価する方法です。
名前に「分散」とありますが、目的は平均差の検定に使うことが多く、因子による変動が誤差変動より十分大きいかをF比で判断します。
1. ANOVAは変動を分解する
一元配置なら総変動を因子による変動と誤差変動へ、二元配置ならA・B・交互作用AB・誤差へ分けます。どの要因がどれだけ変動を説明しているかを整理できます。
2. 平方和SSは変動の大きさ
平均との差をそのまま足すと正負が打ち消し合うため、差を二乗して合計します。総平方和、因子平方和、誤差平方和などに分けて扱います。
3. 自由度dfは独立な情報量
一元配置で水準数がkなら因子自由度はk−1、全データ数Nなら誤差自由度はN−kです。二元配置では因子数・水準数・交互作用に応じて自由度を割り当てます。
4. 平均平方MSはSS÷df
平方和は自由度が大きいほど増えやすいため、SSをdfで割って平均平方MSにします。因子MSと誤差MSを同じ尺度で比較できるようにします。
5. F値は因子変動と誤差変動の比
F = MS(因子) / MS(誤差)です。H₀のもとでは大きくなりにくい比なので、Fが十分大きければ因子効果があると判断する方向になります。
6. p値は「H₀が正しい確率」ではない
p値は、H₀を仮定したとき観測値以上に極端な結果が出る確率です。p<0.05だから効果が大きい、という意味でもありません。効果の大きさと実務的重要性は別に評価します。
7. ANOVA表の読み方
- 要因:因子・交互作用・誤差
- SS:平方和
- df:自由度
- MS:平均平方
- F:F統計量
- p:有意確率
計算式を暗記するだけでなく、「どの変動を何と比較しているか」を理解すると、表の意味が崩れません。
8. 残差確認なしでANOVAを終えない
ANOVAや古典的回帰では、誤差の独立性・一定分散・正規性などを仮定します。NISTも、解析後の残差確認をモデル妥当性評価の重要手順として扱っています。
9. よくある質問(FAQ)
ANOVAで有意ならどの群が違うか分かりますか?
通常の一元配置ANOVAでは「少なくとも1群が異なる」までです。具体的な組合せは多重比較などで確認します。
F値が1に近いと何を意味しますか?
因子平均平方と誤差平均平方が同程度で、因子効果が誤差より明確に大きいとは言いにくい状態です。
10. 一次情報・参考資料
- 日本規格協会|QC検定 各級のレベルと内容
- NIST/SEMATECH|One-Factor ANOVA
- NIST/SEMATECH|The two-way ANOVA
- NIST/SEMATECH|Check of assumptions
最終確認:2026年10月1日。
11. まとめ
分散分析は、データの総変動を因子と誤差に分け、平均平方の比Fで平均差を評価する方法です。 SS・df・MS・F・p値のつながりと、残差による前提確認をセットで理解します。
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