第11章|11-2 計数規準型抜取検査|p₀・p₁・α・βからnとcを決める

計数規準型一回抜取検査は、「なるべく合格させたい品質p₀」と「なるべく不合格にしたい品質p₁」、さらに生産者危険α・消費者危険βを定め、その検査特性を満たす試料数nと合格判定個数cを決める方式です。

日本ではJIS Z 9002:1956「計数規準型一回抜取検査(不良個数の場合)」が2024年6月20日に確認され、現在も有効です。AQLを基準に検査の厳しさを切り替える「調整型」とは設計思想を分けて理解します。

1. 規準型はOC曲線上の2点で性能を決める

JIS Z 9002では、良い側の品質水準p₀と悪い側の品質水準p₁を設定し、それぞれの誤判定リスクα・βを満たすように抜取方式を設計します。

2. p₀は「なるべく合格させたい」不良率の上限

p₀は生産者側から見て良質と扱いたいロット品質の基準点です。p₀のロットを不合格にする確率がαです。

3. p₁は「なるべく不合格にしたい」不良率の下限

p₁は消費者側から見て受け入れたくない悪い品質の基準点です。p₁のロットを合格にしてしまう確率がβです。通常p₀<p₁です。

4. αとβは2種類の誤判定リスク

  • α:p₀のロットを不合格にする生産者危険
  • β:p₁のロットを合格にする消費者危険

αだけを小さくすればよいわけではなく、両者の要求を同時に満たす方式を考えます。

5. nとcで一回抜取方式を表す

nはロットから無作為に抜き取る試料数、cは合格判定個数です。試料中の不適合品数をdとすると、d≤cならロット合格、d>cならロット不合格です。

6. 合格確率は二項分布で考えられる

ロットが十分大きく、二項近似を使う場合、ロット不適合率pに対する合格確率は Pₐ=Σ[d=0…c] C(n,d)p^d(1−p)^(n−d) です。この関係をpに対して描いたものがOC曲線です。

7. AQL調整型との違い

現行ISO 2859-1:2026は、AQLで索引付けされたロットごとの計数抜取・切替ルールを扱います。一方、JIS Z 9002の規準型はp₀・p₁とα・βというOC曲線上の2点から望む検査特性を定める方式です。

8. 規準型を使うときの実務条件

  • ロットを明確に形成できる
  • 無作為に試料を取れる
  • 品質基準と不適合判定を事前に定義する
  • 不合格ロットの処置を事前に決める

9. よくある質問(FAQ)

c=0なら最も厳しい検査ですか?

同じnなら不適合品を1個でも見つけると不合格なので厳しくなります。ただし方式の識別力はnとcをセットでOC曲線から評価します。

JIS Z 9002は古いので無効ですか?

いいえ。日本規格協会の現行情報では2024年6月20日確認で「有効」とされています。採用可否は契約・顧客要求・社内規程と合わせて判断します。

10. 一次情報・参考資料

最終確認:2026年10月1日。抜取方式の採用時は、適用するJIS・ISO・顧客仕様の最新版と、ロット形成・無作為抽出・判定後処置のルールを確認してください。

11. まとめ

計数規準型は、p₀・p₁・α・βで望むOC特性を定め、その条件を満たすn・cでロットを判定します。 AQL調整型と同じ「計数抜取」でも、設計の入口が違います。

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執筆・最終確認:UG。公開規格情報と一般化した品質管理の考え方をもとに解説しています。

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