工程能力調査は、Cp・Cpkを計算する作業ではなく「測定系と工程が信頼できる状態かを確認し、安定工程の分布を規格と比較し、改善すべき要因まで絞る一連の調査」です。
1. 目的と対象特性を固定する
何の品質特性を、どの製品・工程・期間・規格で評価するのかを最初に定義します。異なる品種や規格を混ぜた能力指数は意味が曖昧になります。
2. 規格値と測定系を確認する
USL/LSL、単位、丸め、測定分解能を確認します。NISTも工程モデルを評価する前提として、測定系が必要な精度・正確さを持つことを確認する考え方を示しています。
3. サンプリング計画を設計する
時間帯、設備、キャビティ、材料ロット、作業条件など工程の変動源をカバーするように採取します。一時点だけ大量に取ると長期変動を見逃します。
4. まず時系列で見る
ヒストグラムだけでなく採取順にプロットし、シフト・ドリフト・周期・変化点を確認します。異なる状態が混ざると、多峰性や過大な標準偏差として現れます。
5. 管理図で安定性を確認する
適切な管理図で平均・ばらつきの安定性を確認します。特殊原因があるなら原因を特定し、是正後の安定状態を改めて評価します。
6. 分布形状と層別を確認する
正規性、外れ値、二山分布、片寄りを確認します。二山なら設備や材料が混じっていないか層別し、安定した非正規メカニズムなら非正規向け能力評価を検討します。
7. Cp・Cpkと分布をセットで読む
指数だけでなく、ヒストグラムと規格線、平均位置、σを同時に見ます。CpとCpkの差、規格に近い側、実際の裾の形から改善方向を考えます。
8. 工程解析は「なぜ」を層別へ戻す
能力不足なら設備別、金型別、時間帯別、材料ロット別などで層別し、ばらつき成分や中心ずれの要因を探ります。能力指数は原因ではなく結果です。
9. 実務チェックリスト
- 対象・規格・単位を固定
- 測定系を確認
- 変動源を含む採取計画
- 時系列確認
- 管理図で安定性確認
- 分布・層別確認
- Cp/Cpk等を計算
- 原因候補へ層別・改善
- 改善後に再評価・標準化
データ数だけ多ければ良いですか?
量だけでは不十分です。期間・設備・材料など対象工程を代表する採取設計が重要です。
10. 一次情報・参考資料
- 日本規格協会|QC検定 各級のレベルと内容
- NIST/SEMATECH|Production Process Characterization
- NIST/SEMATECH|General Assumptions
- NIST/SEMATECH|Checking Assumptions
最終確認:2026年10月1日。工程能力評価は、管理状態、分布、測定系、規格定義、σの推定方法などの条件を確認して実施してください。
11. まとめ
工程能力調査は「測る→安定性を見る→分布を理解する→規格と比較する→原因へ戻る」工程です。 Cp・Cpkは最後に工程状態を要約する指標として使います。
品質管理の教科書TOP:全16章・191テーマへ戻る
執筆・最終確認:UG。公開情報と一般化した製造現場の考え方をもとに解説しています。
← 前:10-9|Cp・Cpkの実践計算 | 品質管理の教科書TOP

コメントを残す