工程能力を評価する前に、工程が管理状態=統計的に安定していることを確認する必要があります。 不安定工程のCp・Cpkは、変化する平均やσを1つの数字に混ぜてしまい、将来予測の意味が弱くなります。
1. 管理状態は時間方向の安定性
NISTは安定工程を、平均・分散・分布形状が時間に対して一定の状態として説明しています。管理図はこの時間方向の変化を見る代表的な道具です。
2. 工程能力は規格との比較
工程能力は、安定工程の自然ばらつきがUSL/LSLの中へどれだけ収まるかを評価します。時間安定性とは別軸です。
3. 不安定工程ではσが1つに定まらない
設備条件が途中で変わる、平均がドリフトする、分散が時期で違う状態では、全期間をまとめたsが「自然ばらつき」を表しません。Cp/Cpkの分母が意味を失います。
4. 安定だが能力不足はあり得る
管理図がきれいでも、6σが規格幅より広ければ規格外は継続して発生し得ます。この場合は特殊原因探しではなく、ばらつき低減や中心合わせなど工程改善が必要です。
5. 不安定だが一時的に規格内もある
現在のロットがすべて規格内でも、工程平均が動いているなら将来も続く保証は弱い状態です。能力指数が高く見えても先に特殊原因を除きます。
6. 4つの状態と優先行動
- 安定+能力あり:維持管理
- 安定+能力なし:工程改善
- 不安定+一見能力あり:特殊原因除去→再評価
- 不安定+能力なし:安定化を優先し、その後能力改善
7. CpとCpkの差で改善方向を見る
安定工程でCpが高くCpkだけ低いなら中心ずれが主因候補、両方低いならばらつき幅自体が大きい可能性があります。ただし分布やσ推定方法も確認します。
8. 正規性・測定系も能力評価の条件
能力指数の代表式は正規分布を前提とします。非正規分布、混合分布、測定誤差が大きい場合は単純なCp/Cpkだけで判断しません。
9. よくある質問(FAQ)
Cpkが高ければ管理図は不要ですか?
不要にはなりません。Cpkは安定性を証明する指標ではなく、管理図は時間方向の変化を検出します。
管理状態なら不良はゼロですか?
違います。安定しているだけで、規格に対する能力が十分とは限りません。
10. 一次情報・参考資料
- 日本規格協会|QC検定 各級のレベルと内容
- NIST/SEMATECH|Assessing Process Stability
- NIST/SEMATECH|What is Process Capability?
最終確認:2026年10月1日。工程能力評価は、管理状態、分布、測定系、規格定義、σの推定方法などの条件を確認して実施してください。
11. まとめ
工程能力は「安定した工程」を規格と比べて初めて意味を持ちます。 管理図で安定性→分布・測定系→Cp/Cpkの順に評価します。
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執筆・最終確認:UG。公開情報と一般化した製造現場の考え方をもとに解説しています。
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