第10章|10-8 工程能力と管理状態|Cp・Cpkを計算する前に安定性を見る

工程能力を評価する前に、工程が管理状態=統計的に安定していることを確認する必要があります。 不安定工程のCp・Cpkは、変化する平均やσを1つの数字に混ぜてしまい、将来予測の意味が弱くなります。

1. 管理状態は時間方向の安定性

NISTは安定工程を、平均・分散・分布形状が時間に対して一定の状態として説明しています。管理図はこの時間方向の変化を見る代表的な道具です。

2. 工程能力は規格との比較

工程能力は、安定工程の自然ばらつきがUSL/LSLの中へどれだけ収まるかを評価します。時間安定性とは別軸です。

3. 不安定工程ではσが1つに定まらない

設備条件が途中で変わる、平均がドリフトする、分散が時期で違う状態では、全期間をまとめたsが「自然ばらつき」を表しません。Cp/Cpkの分母が意味を失います。

4. 安定だが能力不足はあり得る

管理図がきれいでも、6σが規格幅より広ければ規格外は継続して発生し得ます。この場合は特殊原因探しではなく、ばらつき低減や中心合わせなど工程改善が必要です。

5. 不安定だが一時的に規格内もある

現在のロットがすべて規格内でも、工程平均が動いているなら将来も続く保証は弱い状態です。能力指数が高く見えても先に特殊原因を除きます。

6. 4つの状態と優先行動

  • 安定+能力あり:維持管理
  • 安定+能力なし:工程改善
  • 不安定+一見能力あり:特殊原因除去→再評価
  • 不安定+能力なし:安定化を優先し、その後能力改善

7. CpとCpkの差で改善方向を見る

安定工程でCpが高くCpkだけ低いなら中心ずれが主因候補、両方低いならばらつき幅自体が大きい可能性があります。ただし分布やσ推定方法も確認します。

8. 正規性・測定系も能力評価の条件

能力指数の代表式は正規分布を前提とします。非正規分布、混合分布、測定誤差が大きい場合は単純なCp/Cpkだけで判断しません。

9. よくある質問(FAQ)

Cpkが高ければ管理図は不要ですか?

不要にはなりません。Cpkは安定性を証明する指標ではなく、管理図は時間方向の変化を検出します。

管理状態なら不良はゼロですか?

違います。安定しているだけで、規格に対する能力が十分とは限りません。

10. 一次情報・参考資料

最終確認:2026年10月1日。工程能力評価は、管理状態、分布、測定系、規格定義、σの推定方法などの条件を確認して実施してください。

11. まとめ

工程能力は「安定した工程」を規格と比べて初めて意味を持ちます。 管理図で安定性→分布・測定系→Cp/Cpkの順に評価します。

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執筆・最終確認:UG。公開情報と一般化した製造現場の考え方をもとに解説しています。

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