2つの母平均の差を調べるときは、2群が「独立」なのか「対応あり」なのかを最初に分けます。 独立2群では、平均差をそれぞれの標本平均と標準誤差から評価します。
ここでは独立2群を扱います。同じ対象の前後比較など、1対1の対応がある場合は9-9|対応のあるデータで扱います。
1. 2群が独立かを最初に確認する
設備Aからn₁個、設備Bからn₂個を別々に抽出したように、一方の観測値と他方の観測値が1対1に対応していない場合は独立2群として考えます。
2. 基本の仮説は平均差=0
両側検定ならH₀: μ₁−μ₂=0、H₁: μ₁−μ₂≠0です。品質上「Aの方が大きいか」だけを見るなら、合理的な理由のもと片側仮説を事前設定します。
3. 等分散を仮定しないWelch法
母分散が等しいと仮定しない代表的な方法では、t=(X̄₁−X̄₂−Δ₀)/√(s₁²/n₁+s₂²/n₂) として平均差を標準誤差で尺度化します。自由度はWelch–Satterthwaite型の近似を使います。
4. 等分散を仮定する方法もある
2群の母分散が等しいと合理的に仮定できる場合は、プールした分散sp²を使う2標本t検定があり、自由度はn₁+n₂−2です。等分散を根拠なく決めつけません。
5. 平均差の信頼区間も見る
「有意差あり/なし」だけでなく、μ₁−μ₂の信頼区間を示すと差の大きさと精度を読めます。両側検定と対応する信頼区間に0が含まれない場合、同じ有意水準では差が有意になります。
6. 0を含むことは「同等」の証明ではない
平均差の信頼区間に0が含まれても、2群が実務上同等と証明されたわけではありません。同等性を示したい場合は許容差を事前に設定した同等性検定など別の問いになります。
7. 外れ値・分布・抽出条件を確認する
平均比較の前に、独立性、層別条件、外れ値、標本数、分布形状を確認します。設備Aは昼勤、設備Bは夜勤だけなど条件が違えば、設備差と勤務帯差が混ざります。
8. 現場ミニケース
設備AとBで同一寸法を別ロットから測定し、Aの平均10.01mm、Bの平均10.04mmだったとします。平均差0.03mmだけで判断せず、各群のsとnから標準誤差を求め、統計的差と規格上の意味を分けて評価します。
9. よくある質問(FAQ)
Welch法と等分散法はどちらを使いますか?
データ構造と前提で決めます。等分散を仮定する根拠が弱い場合は、分散が異なっても扱えるWelch法が候補になります。
平均差が小さければ無視してよいですか?
統計的な差だけでなく、規格余裕、安全、機能、工程能力など実務上の影響を確認します。
10. 一次情報・参考資料
- 日本規格協会|QC検定 各級のレベルと内容
- NIST/SEMATECH|Two-Sample t-Test
- NIST/SEMATECH|Paired Observations
- NIST/SEMATECH|Chi-Square Test for the Variance
最終確認:2026年10月1日。使用する検定は、データの対応関係、分布、分散、独立性などの前提条件を確認して選びます。
11. まとめ
2つの母平均の比較では、まず独立2群か対応ありかを分けます。 独立2群では平均差を標準誤差で評価し、検定と信頼区間を併用して差の大きさまで判断します。
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