歯車や軸などでは、表面には耐摩耗性、内部には靭性が欲しいことがあります。表面硬化は、この『表面は硬く、心部は粘り強く』という両立を狙う考え方です。
全部を硬くすれば良いとは限らない
部品全体を高硬度化すると、衝撃に対する靭性低下、加工性低下、割れ感受性などの問題が出る場合があります。機能する部分だけを硬くすることで、性能と耐久性のバランスを取ります。
表面に必要な性能
接触面では摩耗、面圧、転がり疲労、すべりなどが問題になります。高い表面硬さや圧縮残留応力が有利に働く処理もあります。
心部に必要な性能
内部には衝撃や曲げ荷重を受け止める靭性が必要な場合があります。低炭素鋼を浸炭して表面だけ高炭素化する方法は、硬い表面と比較的靭性のある心部を組み合わせる代表例です。
表面硬化の2つの考え方
①表面の化学成分を変える方法:浸炭、浸炭窒化、窒化など。②成分をほぼ変えず、表面だけを加熱・焼入れする方法:高周波焼入れなど。
硬化層の深さが重要
表面硬さだけでなく、どの深さまで必要な硬さがあるかが機能に直結します。処理法によって有効硬化層深さや硬さ分布の考え方が異なります。
処理選定
材質、部品形状、要求硬さ、硬化深さ、変形許容、量産性、後加工、コストなどを総合して選びます。
まとめ
第25回では、なぜ表面だけ硬くするの?を整理しました。表面処理は名称だけで選ばず、硬化メカニズム・材質・硬化層深さ・変形・要求性能をセットで考えます。具体条件は図面・材質規格・熱処理仕様・作業標準を優先してください。
参考
- ASM International「Steels: Processing, Structure, and Performance」
- Bodycote「Case hardening」
- Bodycote「Induction hardening」
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