第2章|2-4 焼なましとは?

焼なましは「鋼を軟らかくする処理」と説明されることが多い熱処理です。しかし実際には、加工性改善、残留応力の低減、組織調整など目的によって複数種類があります。

焼なましの加熱・保持・冷却の流れと、完全焼なまし・球状化焼なまし・応力除去焼なまし・拡散焼なまし・等温焼なましの違いを示した図解

まず結論|焼なましは目的に合わせて鋼を整える処理

焼なましは、鋼を目的に合った条件で加熱・保持・冷却し、軟化、加工性改善、応力除去、組織調整などを行う熱処理の総称です。

焼なまし=「ゆっくり冷やす処理」だけではなく、目的別に複数種類がある。

焼なましは何のためにする?

  • 硬さを下げて加工しやすくする
  • 切削性や成形性を改善する
  • 加工や溶接で生じた残留応力を減らす
  • 組織を整える
  • 成分の偏りを減らす
  • 炭化物の形を調整する

代表的な焼なましの種類

種類主な目的
完全焼なまし軟化・組織調整・加工性改善など
球状化焼なまし炭化物を球状化し、加工性や後工程の条件を整える
応力除去焼なまし加工・溶接などで生じた残留応力を減らす
拡散焼なまし成分偏析の低減・均質化を狙う
等温焼なまし一定温度で変態を進め、組織や加工性を調整する

全部「炉の中でゆっくり冷やす」?

完全焼なましでは炉内でゆっくり冷却する方法が代表的ですが、焼なましには複数種類があります。すべてを同じ冷却方法で説明することはできません。

球状化焼なましは何をしている?

高炭素鋼などでは、炭化物の形状を球状に近づけることで加工性を改善したり、後の焼入れに向けた組織状態を整えたりします。単に軟らかくするだけでなく、次工程をやりやすい状態へ整える考え方が重要です。

焼なましと焼ならしは何が違う?

焼なましは軟化・加工性改善・応力除去など幅広い目的で使われます。一方、焼ならしは一般に変態点より高い温度から空冷し、組織の均一化・微細化や機械的性質の調整を狙います。

完全焼なましと焼ならしを比べると、同じ鋼では焼ならしの方が冷却が速く、より細かい組織になりやすい傾向があります。ただし結果は鋼種や部品サイズで変わります。

第7回のまとめ

  1. 焼なましは軟化だけが目的ではない
  2. 加工性改善・応力除去・組織調整など複数の目的がある
  3. 完全・球状化・応力除去・拡散など種類がある
  4. 冷却方法も種類によって異なる
  5. 後工程をやりやすくするための熱処理でもある

次回|焼ならしとは?

次回は、なぜ空冷するのか、焼なましと何が違うのかを整理します。

参考資料


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