焼なましは「鋼を軟らかくする処理」と説明されることが多い熱処理です。しかし実際には、加工性改善、残留応力の低減、組織調整など目的によって複数種類があります。

まず結論|焼なましは目的に合わせて鋼を整える処理
焼なましは、鋼を目的に合った条件で加熱・保持・冷却し、軟化、加工性改善、応力除去、組織調整などを行う熱処理の総称です。
焼なまし=「ゆっくり冷やす処理」だけではなく、目的別に複数種類がある。
焼なましは何のためにする?
- 硬さを下げて加工しやすくする
- 切削性や成形性を改善する
- 加工や溶接で生じた残留応力を減らす
- 組織を整える
- 成分の偏りを減らす
- 炭化物の形を調整する
代表的な焼なましの種類
| 種類 | 主な目的 |
|---|---|
| 完全焼なまし | 軟化・組織調整・加工性改善など |
| 球状化焼なまし | 炭化物を球状化し、加工性や後工程の条件を整える |
| 応力除去焼なまし | 加工・溶接などで生じた残留応力を減らす |
| 拡散焼なまし | 成分偏析の低減・均質化を狙う |
| 等温焼なまし | 一定温度で変態を進め、組織や加工性を調整する |
全部「炉の中でゆっくり冷やす」?
完全焼なましでは炉内でゆっくり冷却する方法が代表的ですが、焼なましには複数種類があります。すべてを同じ冷却方法で説明することはできません。
球状化焼なましは何をしている?
高炭素鋼などでは、炭化物の形状を球状に近づけることで加工性を改善したり、後の焼入れに向けた組織状態を整えたりします。単に軟らかくするだけでなく、次工程をやりやすい状態へ整える考え方が重要です。
焼なましと焼ならしは何が違う?
焼なましは軟化・加工性改善・応力除去など幅広い目的で使われます。一方、焼ならしは一般に変態点より高い温度から空冷し、組織の均一化・微細化や機械的性質の調整を狙います。
完全焼なましと焼ならしを比べると、同じ鋼では焼ならしの方が冷却が速く、より細かい組織になりやすい傾向があります。ただし結果は鋼種や部品サイズで変わります。
第7回のまとめ
- 焼なましは軟化だけが目的ではない
- 加工性改善・応力除去・組織調整など複数の目的がある
- 完全・球状化・応力除去・拡散など種類がある
- 冷却方法も種類によって異なる
- 後工程をやりやすくするための熱処理でもある
次回|焼ならしとは?
次回は、なぜ空冷するのか、焼なましと何が違うのかを整理します。
金属熱処理 初心者講座

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