変態点とは、鋼を加熱・冷却したときに組織や結晶構造の変化が始まる、または進む温度の目安です。熱処理条件を決める基礎になります。
まず押さえる記号
A1は共析変態に関係する温度、A3は亜共析鋼でフェライトとオーステナイトの境界側の温度です。実際の加熱時にはAc1・Ac3、冷却時にはAr1・Ar3のように区別します。
AcとArの違い
cはchauffage(加熱)、rはrefroidissement(冷却)に由来する表記として使われます。加熱速度・冷却速度の影響で、実際に観察される変態温度にはヒステリシスがあります。
Acmとは?
過共析鋼側では、オーステナイトとセメンタイトの境界に関係するAcmも重要です。すべての鋼でAc3だけを見るわけではありません。
Ms・Mfとは?
Msは冷却中にマルテンサイト変態が始まる温度、Mfは変態がほぼ終了する側の温度です。化学成分などによって大きく変わります。
固定値ではない
変態点は『鋼なら全部同じ温度』ではありません。炭素量、合金元素、加熱冷却速度、前組織などにより変化します。実務では材質規格や熱処理仕様を確認します。
なぜ重要?
オーステナイト化温度、焼入れ開始条件、焼なまし・焼ならし温度などを決めるとき、変態点との位置関係を理解しておくと条件設定の理由が分かります。
まとめ
第21回の要点は、用語だけを暗記せず、温度・炭素量・時間・冷却速度と組織の関係で考えることです。実際の熱処理条件は鋼種・寸法・前組織・設備・仕様で変わるため、材質規格と作業標準を優先してください。
参考
金属熱処理 初心者講座

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