はめあいは、組み合わせる穴と軸の公差域の関係によって「すきまばめ・中間ばめ・しまりばめ」の3種類に整理できます。違いは名前ではなく、許容される穴径と軸径の範囲を組み合わせたときに、必ずすきまになるのか、すきまにも干渉(しめしろ)にもなり得るのか、必ずしめしろになるのかで決まります。
この3種類を理解すると、H7/g6・H7/k6・H7/p6のようなはめあい記号も「なぜその用途に使われるのか」が読みやすくなります。機械検査では、単品寸法の合否だけでなく、組合せとしてどの状態が成立するかまで見られると実務力が上がります。
30秒でわかるポイント
- すきまばめ:すべての許容組合せで穴が軸より大きく、必ずすきまが生じる
- 中間ばめ:実際の穴径と軸径の組合せによって、すきまにも、しめしろにもなり得る
- しまりばめ:すべての許容組合せで軸が穴より大きく、必ずしめしろが生じる
- 分類は公差域全体の位置関係で判断する
- 実際の組付け感は寸法だけでなく、温度・粗さ・形状・バリなどにも影響される

3種類のはめあいを比較
| 種類 | 穴と軸の関係 | 組立時の状態 | 代表用途 |
|---|---|---|---|
| すきまばめ | 常に穴の方が大きい | 必ずすきま | 回転・摺動・着脱 |
| 中間ばめ | 公差域が重なる | すきま又はしめしろ | 位置決め・軽い固定 |
| しまりばめ | 常に軸の方が大きい | 必ずしめしろ | 圧入・強固な固定 |
ここで重要なのは、1個の実測値だけで種類を決めないことです。設計上のはめあい分類は、穴と軸それぞれの許容サイズ範囲を全部組み合わせたときの関係で決まります。

すきまばめとは?|必ずすきまができる
すきまばめは、最も厳しい組合せでも穴が軸より大きくなるはめあいです。つまり最小すきまが0以上になります。
最小すきま = 穴の最小許容サイズ − 軸の最大許容サイズ
この値が0以上なら、全組合せですきま側になります。
回転軸、摺動部、頻繁に着脱する部品など、動きやすさや組立性が必要な場所で使われます。すきまが大きすぎるとガタや振動の原因になり、小さすぎると温度上昇や潤滑不足によって焼付きの危険が増えるため、用途に合った量が必要です。

中間ばめとは?|すきまにも、しめしろにもなり得る
中間ばめでは、穴と軸の公差域が一部重なります。そのため、実際にできた部品の組合せによってはすきまが生じ、別の組合せではしめしろが生じます。
「どちらでもよい」という意味ではありません。すきま側としめしろ側の両方が設計上許容される範囲に入るように選ばれたはめあいです。位置決め、芯合わせ、組立性と保持力の両立が必要な箇所などで使われます。
公差域が重なる → 実寸法の組合せによって状態が変わる

しまりばめとは?|必ずしめしろができる
しまりばめは、最も緩い組合せでも軸が穴より大きくなるはめあいです。つまり最小しめしろが0以上になります。
最小しめしろ = 軸の最小許容サイズ − 穴の最大許容サイズ
歯車、ブッシュ、ハブなどを圧入して固定したい場合に使われます。ただし、しめしろが大きすぎると圧入力が増え、部品の変形・割れ・残留応力につながるため、材質、肉厚、表面粗さ、組立方法まで含めて設計します。

公差域の位置関係で3種類を見分ける
基準サイズをゼロ線として、穴と軸の許容範囲を公差域で描くと3種類の違いが一目で分かります。
- すきまばめ:穴の公差域が軸の公差域より完全に大きい側にある
- 中間ばめ:穴と軸の公差域が重なる
- しまりばめ:軸の公差域が穴の公差域より完全に大きい側にある
この「公差域で考える」習慣がつくと、記号を丸暗記しなくても、どのような組合せになるか理解しやすくなります。

最大・最小すきま/しめしろの計算
公差付きの部品は実寸法が範囲内で変動するため、すきまやしめしろも一定ではありません。検査・設計では最大値と最小値を確認します。
| 求めたい値 | 計算式 |
|---|---|
| 最小すきま | 穴の最小許容サイズ − 軸の最大許容サイズ |
| 最大すきま | 穴の最大許容サイズ − 軸の最小許容サイズ |
| 最小しめしろ | 軸の最小許容サイズ − 穴の最大許容サイズ |
| 最大しめしろ | 軸の最大許容サイズ − 穴の最小許容サイズ |
符号が混乱しやすい場合は、まず「穴−軸」で計算し、プラスならすきま、マイナスならその絶対値がしめしろ、と考える方法でも整理できます。

計算例|数値で3種類を判定する
例1|すきまばめ
穴:20.010〜20.030 mm、軸:19.980〜20.000 mm
- 最小すきま:20.010 − 20.000 = 0.010 mm
- 最大すきま:20.030 − 19.980 = 0.050 mm
すべてプラスなので、必ずすきまがあるすきまばめです。
例2|中間ばめ
穴:20.000〜20.020 mm、軸:20.005〜20.015 mm
- 最大すきま:20.020 − 20.005 = 0.015 mm
- 最大しめしろ:20.015 − 20.000 = 0.015 mm
すきま側としめしろ側の両方があり得るので、中間ばめです。
例3|しまりばめ
穴:20.000〜20.010 mm、軸:20.020〜20.035 mm
- 最小しめしろ:20.020 − 20.010 = 0.010 mm
- 最大しめしろ:20.035 − 20.000 = 0.035 mm
すべてしめしろ側なので、しまりばめです。

H7/g6・H7/k6・H7/p6との関係
代表例として、穴基準方式では次のような組合せがよく使われます。
| 組合せ例 | 代表的な分類 | 用途イメージ |
|---|---|---|
| H7/g6 | すきまばめ | 回転・摺動 |
| H7/k6 | 中間ばめ | 位置決め |
| H7/p6 | しまりばめ | 圧入・固定 |
ただし、これは代表的な組合せの理解用です。具体的な許容差や実際のすきま・しめしろは基準サイズによって変わるため、JIS B 0401-2などの表で確認します。
前の記事「はめあいとは?」では、H7/g6の読み方や穴基準・軸基準を詳しく解説しています。

用途でどう使い分ける?
| 必要な機能 | 方向性 | 注意点 |
|---|---|---|
| 滑らかに回転・摺動 | すきまばめ | ガタと潤滑のバランス |
| 精度よく位置決め | 中間ばめ | 組立性と保持力 |
| 抜けにくく強固に固定 | しまりばめ | 圧入力・部品強度 |
「精密部品だからしまりばめ」とは限りません。軸受のように滑らかな回転が必要ならすきまが必要な場合があります。反対に、回転部品でもハブと軸を一体化したい部分ではしまりばめを使うことがあります。

検査実務|単品合格だけで終わらない
穴と軸がそれぞれ図面公差内なら、サイズ要求としては合格です。ただし、機能確認まで求められる場合は、実測値からすきま・しめしろを計算したり、ゲージ・組付け確認など別の検査を行うことがあります。
- 軸径:外側マイクロメータなどで複数方向・複数位置を測る
- 穴径:シリンダゲージ、内側マイクロメータなどで測る
- 量産判定:限界ゲージの使用条件を確認する
- 境界値:測定器の分解能、ゼロ点、温度、測定姿勢を再確認する
- 組付け確認:寸法検査と機能確認を混同しない

実際の組付け感を変える要因
図面上は同じすきま・しめしろでも、実際の組立性や摺動感は次の要因で変わります。
- 温度:熱膨張で穴・軸のサイズが変化する
- 表面粗さ:粗さの山が接触し、摺動抵抗や圧入荷重に影響する
- 真円度・円筒度:局部的な当たりで入りにくくなる
- バリ・打痕・汚れ:わずかな突起でも組付け不良になる
- 材質・肉厚:圧入時の変形量や応力が変わる
- めっき・コーティング:処理後サイズが変わる
ポイント:「寸法公差内=必ず同じ組付け感」ではありません。

よくある間違い
- 名称だけで「これはすきまばめ」と判断する
- 穴と軸を単品で見て、公差域の組合せを確認しない
- H7だけ見て、必ずすきまばめだと思う
- 中間ばめを「すきまでもしまりでもどちらでもよい」と解釈する
- 実際に入ったから寸法合格だと思う
- 温度、バリ、粗さ、形状偏差を無視する
- しめしろが大きいほど固定力が高くて良いと思う

🎓 技能検定につながるポイント
技能検定では、3種類の名称を暗記するだけでなく、公差域・計算・用途を結びつけて説明できることが重要です。
- すきま・しめしろの定義を説明できる
- すきまばめ・中間ばめ・しまりばめを区別できる
- 公差域の位置関係から分類できる
- 最大・最小すきま/しめしろを計算できる
- 用途に応じた選び方を説明できる
- 図面記号と実際の機能を結びつけて考えられる

ミニ問題
Q1. 全ての組合せで必ずすきまが生じるはめあいは?
答え:すきまばめです。
Q2. 組合せによって、すきまにも、しめしろにもなり得るはめあいは?
答え:中間ばめです。
Q3. 穴20.010〜20.030 mm、軸19.980〜20.000 mm。最小すきまは?
答え:20.010 − 20.000 = 0.010 mmです。

FAQ
中間ばめは、すきまでもしめしろでも問題ないという意味?
単に「どちらでもよい」という意味ではありません。設計された公差域の範囲内で、実寸法の組合せによりすきま側・しめしろ側のどちらも成立し得るという意味です。
H7ならすきまばめですか?
H7は穴側だけの公差クラスなので、それだけでは決まりません。相手の軸がg6、k6、p6など何かによって分類が変わります。
圧入できればしまりばめとして合格?
「入った」という結果だけでは寸法合格とは判断できません。図面で指定された穴径・軸径がそれぞれ許容範囲内かを測定し、必要なら圧入力などの機能条件も別途確認します。

まとめ
- すきまばめは全組合せで必ずすきま
- 中間ばめは組合せによりすきま又はしめしろ
- しまりばめは全組合せで必ずしめしろ
- 分類は穴と軸の公差域全体で判断する
- 最大・最小すきま/しめしろを計算すると理解しやすい
- 代表例としてH7/g6・H7/k6・H7/p6などがある
- 実務では温度・粗さ・形状・バリなども確認する
名称だけを覚えるのではなく、「穴と軸の許容範囲を全部組み合わせると、何が必ず成立するか」で考えるのが3種類を理解する近道です。

参考規格・一次情報
- 日本規格協会|JIS B 0401-1:2016(2025-06-20確認・有効)
- 日本規格協会|JIS B 0401-2:2016(2025-06-20確認・有効)
- ISO|ISO 286-1:2010

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