高周波焼入れは、誘導加熱で部品の表面や必要部位だけを急速に加熱し、その直後に焼入れして硬化させる表面熱処理です。
まず結論
コイルに交流を流して交番磁界を作り、部品表面側に誘導電流を発生させて加熱します。必要部位をオーステナイト化温度域まで加熱した後、噴射水などで急冷し、マルテンサイト化を狙います。
成分は基本的に変えない
浸炭や窒化のように炭素・窒素を表面へ拡散させる処理ではありません。母材自身の炭素量・焼入性を利用して硬化するため、材料選定が重要です。
なぜ表面だけ加熱できる?
誘導加熱では周波数、出力、コイル形状、加熱時間などによって加熱深さと分布を制御できます。実際の硬化深さは材質・形状・加熱・冷却条件で決まります。
メリット
局部処理がしやすい、短時間加熱が可能、量産自動化しやすい、心部の靭性を保ちやすい、といった利点があります。
注意点
コイルとの位置関係、端部過熱、形状による加熱ムラ、焼割れ、変形、硬化深さのばらつきなどを管理します。
用途
歯車、シャフト、軸受部、カムなど、特定部位に耐摩耗性・疲労強度が必要な部品で利用されます。
まとめ
第29回では、高周波焼入れとは?を整理しました。表面処理は名称だけで選ばず、硬化メカニズム・材質・硬化層深さ・変形・要求性能をセットで考えます。具体条件は図面・材質規格・熱処理仕様・作業標準を優先してください。
参考
- ASM International「Steels: Processing, Structure, and Performance」
- Bodycote「Case hardening」
- Bodycote「Induction hardening」
金属熱処理 初心者講座

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