熱処理でいう「変態」は、鋼が溶けることではありません。固体のまま、内部の結晶構造や組織の状態が変わる現象を指します。
まず結論
鋼は加熱・冷却によって、フェライト、オーステナイト、パーライト、マルテンサイトなど、異なる相や組織へ変化します。この変化を理解すると、なぜ焼入れで硬くなるのかが見えてきます。
固体のまま中身が変わる
鉄原子の並び方や炭素の居場所が変わることで、同じ化学成分でも性質が大きく変わります。外観だけでは分からないため、金属組織観察や硬さ試験などで確認します。
拡散を伴う変態
フェライトやパーライトなどの形成では、炭素などの原子が移動する時間が必要です。そのため温度と時間、冷却速度が重要になります。
無拡散変態
マルテンサイト変態は、長距離の拡散を伴わず結晶格子が協調的に変化する変態です。急冷によって拡散変態を抑えると生じやすくなります。
変態温度は1つではない
加熱時と冷却時で変態の開始・終了温度は異なり、鋼種や加熱冷却速度でも変化します。Ac1、Ac3、Ar1、Ar3、Ms、Mfなど複数の温度を目的に応じて使い分けます。
初心者の覚え方
『熱処理=温度で原子の並び方と組織を変え、その結果として性質を変える操作』と捉えると、各用語がつながりやすくなります。
まとめ
第12回では、熱処理でいう「変態」とは?を理解しました。熱処理の結果は鋼種・寸法・前組織・加熱条件・冷却条件などで変わるため、実務では図面・材質規格・熱処理仕様・作業標準を優先してください。
参考
金属熱処理 初心者講座

コメントを残す